入院友達
入院してかれこれ5日目が過ぎようとしている。
轢かれ、運ばれ、縫われ、の三段落ちであっというまに終わった1日目。
1日目の疲労感がどっと来て、表情筋が死んでた2日目。
元気になったと思いきや、術後の点滴に含まれる副作用で筋肉が硬直して死にかけた3日目。
点滴が取れ、比較的元気になってきたが眠れず夜中テラスハウス鑑賞に爆走した4日目。
そして、早朝から2本も採血をしスタートした5日目。
5日目にしてわたしは入院フレンズができた。
今日ここに越してきたニューカマーの60代である。
彼女は、都会のど真ん中にそそり立つ広尾病院で、窓辺に映る赤い東京タワーを眺めながら顔を洗っている時、そっと話しかけてくれた。
どうやら彼女はアメリカに住んでいたらしい。
腕を骨折してしまったらしい。
エジプト旅行に行った時感銘を受けたらしい。
志賀直哉が好きらしい。
いろんなはなしができた。
わたしはこういう、普通だったら関わることがなさそうな人と他愛のない話をするのが結構好きで、折角だなとか思いつつ、おばさん特有のマシンガントークにガンガンついていってみたりした。
なんと、実は彼女も明々後日に手術を控えた同士だったことがわかった。
私はこの話をした時、今まで感じたことのないようなシンパシーみたいな、結束力みたいな、何かを感じてしまった。
孤独と思っていたこの小さな病室の中に、同じような不安を抱えた人がいた。というか、病院なんてみんな違った不安を抱えて過ごしてるのはわかっている。
それに、明々後日手術の予定がある人は絶対めちゃくちゃいる。
だけどなんか、すごく、暖かな気持ちになれた。。やっぱり、ひととはなすことってすごいと思った。気持ちを共有する仲間ができると全然心持ちがちがうんだもん。
こういう関係性と分かってから、
淡々と出てくる建築の話とか、ブラジルのうんちくとか、そんな話さえも愛おしく思えてきた。
ありがとう。退院するのはどちらが早いのかわからないが、心底感謝の気持ちを伝えたい。